連休中日の4日、川崎市市民ミュージアムで開かれていた「パリの空のポスター描き」レイモン・サヴィニャック展に行ってきました。
昨年大阪のサントリーミュージアム天保山で行われた同名のサヴィニャック展が、関東で催されるというもので、会期が11月5日までということでギリギリとなってしまいました。
ただ、最終日前日の4日は、学芸員による展示解説が行われる日でもあり、せっかくなのでその時間にあわせて行くようにしたのでした。
午後2時から始まった展示解説には数十名の人が集まって、なかなか盛況でした。
もともとこの市民ミュージアムでも30点ほどのサヴィニャックの作品を所有しているそうですが、大阪で展覧会を行うという話があった時に、ぜひ一緒にということで昨年の展覧会でも所蔵品を出品したのだそうです。
天保山では自ら所有する作品と、上記のとおり川崎からの出品に加えて、個人が所有する貴重な原画などもあわせて百数十点が展示されていたそうです。それに対して、市民ミュージアムは企画展示室の面積が天保山より少し狭い関係上、同じだけの量を並べることができないこともあって、約90点ほどに絞られていたそうです。
ちなみに天保山で原画を提供した個人というのが、昨年末行われた
「I+STYLERSでのイベント」や、今年の4月に
恵比寿三越で行われたイベントを企画したギィ・アンティックギャラリーの社長さんなわけです。
展示作品については、今までも目にしている作品が結構多くて、初めて目にするものというのが意外に少なかったのですが、ほぼ一点づつ丁寧な解説を聞きながら見て行くというのは、作品そのものに加えてその背景や当時の状況なども含めて知ることができたという面で非常に新鮮でした。
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川崎市市民ミュージアムのある等々力緑地は、40万平方メートル超のスペースの中に、Jリーグも開催される等々力競技場や野球場などスポーツ施設なども多数擁する緑豊かな場所です。
当日も天皇杯の試合の真っ最中で、オシム監督も来場されていたそうですが、とても賑わっていました。
市民ミュージアムは1988年のオープン以来の歴史を持つ施設なのですが、当初に比べると利用者の数は減っているそうです。地道な取り組みの中、最悪期よりは持ち直しているそうですが、厳しい状況にあることには変わりはないようですね。
今年から、公募で選ばれた初の民間出身として、小田急百貨店出身の方(小田急美術館の館長などもされた経験のある方だそう)が館長になり、一層の取り組みが期待されるところです。
公立・私立を問わず、美術館・博物館の今後というところは、我が国における芸術文化と社会の関わりを改めて問い直す大きなテーマだと思いますが、新館長のもとでの市民ミュージアムの取り組みというのも、そのひとつの試金石なのかもしれません。
ぜひ注目してみたいところです。