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建築家との家作りはひとまず終了。このプロセスで思うことやら、住んでからの感想とか、まったく関係ないことまで、色々と連ねてみようかと。過去記事へのコメント/TB、お待ちしてます!
by finzi
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アントニン&ノエミ・レーモンド/神奈川県立近代美術館鎌倉
アントニン&ノエミ・レーモンド/神奈川県立近代美術館鎌倉_b0007893_23171821.jpg過日エントリーをしていた「建築と暮らしの手作りモダン アントニン&ノエミ・レーモンド」展のために、この日曜日に鎌倉にある神奈川県立近代美術館を訪れました。
さわやかな気候で、ちょっと遠出をするのにふさわしい日でしたが、その分鎌倉の街は人であふれかえっていました。

アントニン&ノエミ・レーモンド/神奈川県立近代美術館鎌倉_b0007893_23223790.jpg
鎌倉駅から徒歩10分程、鶴岡八幡宮の境内に目指す美術館はあります。坂倉準三さん設計による建物は、平家池のほとりに落ち着いた佇まいを見せていました。

展覧会は、予想にたがわぬ充実した内容でした。

過日のエントリーでも参照した2007年9月24日の日経新聞の記事にもあったように、「人間としてのレーモンド」「国境を越えた人間どうしの触れ合い」といったテーマにかなったものになっていたと思います。アントニンとノエミの二人が二人三脚のように歩み続けた歴史が良く分かりました。
一方、同じ記事の中で「設計図や模型が並ぶ建築展ではなく」という記述もあったので、そういったものがほとんどないのかと思っていたのですが、やはりそんなことはありませんでした。これは予想が外れました。
むしろ、ノエミさんが描いた透視図や吉村順三さんの手による平面図や透視図などの図面類が充実していたことで、単に図面が並んでいるだけのものではない、という意味で普通の建築展とは違っていたのかもしれません。
アントニン&ノエミ・レーモンド/神奈川県立近代美術館鎌倉_b0007893_0462681.jpg
画像引用元:港区立図書館「港区ゆかりの人物データベース」

時代を追って色々な作品が並んでいるわけですが、麻布笄町以前にあった霊南坂の自邸には驚きました。内外装ともに打ち放しの鉄筋コンクリート造という建物ですが、これが大正末〜昭和初めに建てられたものであるというのです。全体としてきわめて幾何学的でモダンな印象ですが、3畳と4畳半のたたみ部屋があり、建物が囲む庭は松の木も植えられた日本風でもあり、それらが違和感無く同居していると感じました。

しかしなんといっても、過日のエントリーでも余談として触れた、「聖アンセルモ目黒教会」ですね。本当にかっこいい!いまは亡きわが母校(教会はちゃんとあります!)。誇りです。図録にもカバー裏の折り返し部分にアンセルモの写真が使われていました。ここに小さな子どもが写っているのですが、幼稚園の園児ですね。いつ頃の写真かはわかりませんが、制服姿が懐かしいです。

そういえば、1976年にアントニン・レーモンドが亡くなった際、ここ聖アンセルモ教会で追悼式が営まれたと年表にありました。まさにこのとき、ここの幼稚園に通っておりました。もちろん、そんな大きなイベントがあったなどということは覚えてもいませんが。。

展示の最後は、レーモンドの教え子であった前川國男さん、吉村順三さん、ジョージ・ナカシマさん、そして増沢洵さんの4人の作品が展示されてました。彼らとの結びつきがあってのレーモンドという意味で、最後の締めにふさわしいものだったと思います。

アントニン&ノエミ・レーモンド/神奈川県立近代美術館鎌倉_b0007893_2329851.jpg
神奈川県立近代美術館鎌倉館は、設計の坂倉さんがコルビュジエの弟子であり友人であったということも大いに感じさせる建物だと思います。ピロティと大谷石が支える2階建ての建物は、軽快ですが決して軽薄ではなく、モダニズム建築の世界的な代表例というにふさわしい風格を備えています。
残念ながら、第三展示室が耐震上問題があるということで閉鎖されていました。よい解決策が見つかると良いのですが。


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by finzi | 2007-10-09 00:23 | アート | Comments(6)
Commented by gemfragment1031 at 2007-10-09 13:02
この連休に行かれているのかなぁと思っておりました
お天気良くてよかったですね♪
私の語彙ではとても追いつかないレビュー拝見しました
『以下同文』の感想です(笑)

霊南坂には私も愕然としました
それを見て吉村順三がおしかけたというのも納得
そしてそれが1920年代!
当時の日本の町並みの中では桁外れの『センセーショナル』
だったのだろうなと
そのころには想像を超えるモダニズム建築がたくさんあって
そのほとんどが今ないということが不思議です
わずかに残るものが耐震上の問題等でなくなってしまう前に
見ておかなくちゃ・・・と強く思いました

Commented at 2007-10-09 20:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by finzi at 2007-10-10 00:21
gemfragment1031さん
先んじて足を運ばれたというお話をうかがい、間をあけるわけにはいかないと思い、行ってきました。しかし、そんな語彙が何だって大げさな(笑)
この美術館もやはり色々な問題を抱えているようです。おっしゃるように、東京女子大での問題も耳に新しい中で、歴史的な意義と実際に所有あるいや利用する立場とのバランスの中で、どういう道筋が描けるのかどうか、われわれの今後が問われているように思います。
Commented by finzi at 2007-10-10 00:24
カギコメさん、ありがとうございます。
自然環境などと建築は対立する概念ではないはずですよね。良い環境が良い建築を生み、良い建築が良い環境を生む、そういうことなんだと思います。
京都、また行きたいです。
Commented by BUILTLOGIC at 2007-10-17 02:07
こんにちは。
遅ればせながら私もみてきました。
建築関連のボリュームも大きくて良い展覧会でした。
Commented by finzi at 2007-10-17 23:48
BUILTLOGICさん
建築の実務専門家から見たああいう建築展がどういうものなのかっていうのは、とても興味があります。
見る視点というのもきっと違うのでしょうね。
ブログも拝見しましたが、いろいろな人のつながりは興味深かったですね。自分もそう思いました。
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