土曜日、白金の庭園美術館に行ってきました。
現在開催中の展覧会は
↓これです。
「建てられた地から動かすことのできない建築は、実際にそこを訪れない限り見ることはできません。また、様々な理由により形を変えられてしまったり、時代の変化とともに失われてしまうこともあります。したがってわたしたちの建築体験の多くは写真によるものなのです。(中略)本展は、近現代の日本の建築を、同時代の写真家がどのようにとらえたかを辿りながら、建築史と写真史の接点を概観する試みです。(後略)」ちょっと長いですが、展覧会のリーフレットから引用してみました。
そこに指摘されているように、私たちはほとんどの建築を写真やテレビなどのメディアを通して目にしています。
たとえば歴史的な建築物が自分の住む都内にあるといっても、すべてを実際に見に行くことができるわけではありません。国内はもとより世界各地に散らばる名だたる建築物はいわずもがなです。あるいは、既に実物を見たくても絶対にみられないもの、すなわち現存しないものもたくさんあります。
でも、そういったものの多くを私たちは知っています。なぜなら写真で見ることができるものが多いからです。
しかし、その場合にも、あくまでも被写体である建築物そのものへの関心はあっても、ことさらそれが「写真」であることを意識しません。
今回の展覧会は、ある意味では当たり前のようですが、建築の歴史をたどるというのは、すなわち写真の歴史をたどることにも重なるという(少なくとも自分にとっては)新しい視点を提供してくれる非常に興味深いテーマ設定だと感じました。
日本で初めて建築物を対象とする写真を残したのは、薩摩のお殿様だったそうですね。その写真はさすがに見にくいものでしたが、確かに別の角度から見れば、日本における写真の歴史の始まりにも重なるものだといえるのでしょう。
また、明治初期に写された熊本城の様子はとても鮮明で、朽ちている様子など、とても生々しいものでした。
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これらは文字どおり「歴史的」なものですが、それ以外にも成果物としての建築そのものだけではなく、設計途中の模型の写真であったり、建築作業の過程を撮ったものであったりというものも数多くありました。
このように建築にとっても写真にとっても歴史的な意義のある「記録」であり「作品」が多く並べられていて見応えもたっぷりでした。
展覧会は3月末まで開かれています。「リピーター割引」というのがあって、半券を提示すれば2回目以降は団体料金になります。また、ユニークなものとして「ドレスコード割引」ということで、建築物や町並みの模様などが入った服装で来館すると団体料金になるのだそうです。
記念講演会なども予定されているようなので、また行ってみたいと思います。
1)ちなみに今回の展示とは直接関係ありませんが、熊本城は今年が築城400年なのだそうですね。